1畳分のコミュニケーション

懐かしい時を求めて

小ぶりの卓球台は、日常は食卓テーブルである。

90×180㎝だから、ちょうど畳の大きさだ。卓球台としては小ぶりでも、食卓テーブルとしては十分な大きさで、大人8人がゆったり食事することができる。

こたつの時と比べ、家族の距離が少し離れたが、その違いを面白く感じている。

8人掛けだが家族は3人。時により座る位置が変わる。真正面の人と話をするのと斜め向かいとでは、視線の交わし方が違っていて、気持ちも少し変わるような気がする。

娘や孫娘が集まれば、10人がテーブルを囲むことになる。男は私だけで、食事が終われば彼女達のエネルギーに押し出されるように、そっと部屋を出る。

翌日ふと、本来これは卓球台であったことを思い出し、娘を卓球に誘う。

180㎝の台の両端からちょっと離れてピンポン玉を打ち合う。30分もすると汗ばんできて、上着を脱ぐ。あまり話をしたことがなかった他家に嫁いだ娘とラリーを続け、回数を数え、失敗して一緒に笑う。こういうコミュニケーションもあるんだと嬉しくなった。

卓球は、娘3人の性格の違いがわかるのも面白い。失敗するとキャーキャー声を出す賑やかい娘や、失敗すると考え込むような仕草をする娘。長くラリーを続けようと素直に打ち返す娘とは23までを数えた。

昔卓球部に所属していた妻は、油断すると強く打ち込んでくる。しかし大抵は失敗して笑う。妻とは1時間を目途に体を動かしている。私にとっては肩のリハビリで、卓球の後は肩の痛みが消えそうになる。

卓球を終えると食卓テーブルに戻し、夕食の支度となる。大相撲を見ながらビール、日本酒を飲んでいると食卓に料理が並ぶ。ワインで家族3人乾杯する。

卓球の時180㎝の距離で話していた妻が、食事では50㎝の間柄になる。ワインを飲む距離、卓球の距離、外出すればウォーキングの距離もあるが、今は卓球台兼食卓テーブルの距離を楽しんでいる。

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