本を処分する 7月16日

懐かしい時を求めて

本は買って読むものだということは、親から教えられたような気がする。図書館に勤務している時は、本に関する情報が集まってくる分、今よりもはるかに多くの本を買っていた。

実家の6畳間は全ての壁面で天井まで本が並び、それだけでは足りずに部屋の中央にも書架が並び、さらには他の部屋にまで進出する事態になっている。「家が傾くので本を処分するよう」母から何度も言われたが、遅々として進まない。

しかし今住んでいる家でも本が書架からあふれ出すようになり、いよいよ決断を迫られることになった。

手元に置いておく本

残りの人生に彩を添えてくれる本だけを残しておくことにする。

趣味の本

趣味に関する本はないと困る。独学の一番の先生は本である。木工、漆、彫刻、カルトナージュ、手漉き和紙、人形づくり、裁縫、草木染、わら工芸、デッサン、チョークアート…

楽譜、カメラ、料理…

多分野に興味が広がりすぎ、いくら器用貧乏の私でもやりきれない。次は本を捨てて関心をそらすことが必要になるかもしれない。

調べものに使う本

いわゆる図鑑類は捨てられない。「日本原色カメムシ図鑑」は1冊1万円もした(現在3巻まで)。今となっては、よくもまぁこんな本を買ったものだと思う。

クモ、ハエトリグモ、アブラムシ、バッタ、イモムシ、チョウ、トンボ、コガネムシ、甲虫、帰化生物…

雑草、草花、樹木、観葉植物、サボテン、山の幸、どんぐり、ひっつきむし、木の葉…

鳥、木材…

絵や写真が綺麗な本

別冊太陽、笹倉鉄平の画集、ビゴーの素描画集、渡辺京二やイザバラ・バードの挿絵がある本、近世風俗志、世界の巨匠全集…見ているだけでも多くを感じるので、今後いっそう目が衰えてくると、出番は増えるような気がしている。

再読したい小説

大好きな小説家、サマセット・モーム、レイ・ブラッドベリ、トルストイ、サリンジャー、フィッツジェラルド、遠藤周作、山本周五郎、吉川英治。源氏物語、徒然草、枕草子、方丈記などの古典。

心の支えになっている本

内山節、毛利恒之、なぎら健壱、つげ義春、寅さん、つばた英子・しゅういち…

児童書

大好きな作家、ケストナー、ピアス、ルイス、ウェストール、スタイグ…

健康に関する本

目・飛蚊症、整体、ツボ、鼻うがい…還暦を過ぎても健康診断オールAなのは、これらの本のおかげだと思っている。

歴史や民俗

網野善彦や宮本常一の本、半藤一利の昭和史、消えてしまった昭和の仕事に関する本、船で暮らしていた子どもたちの「水上学校の昭和史」などは大切にしたい。

処分する本

政治などの本

田中角栄や小泉純一郎などの大物政治家の功績についていつか考えようと思っていたが、それは今後の自分にとって大きな意味があるのか問うたところ、読む時間の方が惜しくなった。

行政関係や社会問題を取り扱った本も状況の変化が著しいだろうから処分。

教養を高める本

微分積分を、世界史を、日本史を理解しておかないと恥ずかしい、きっと役にたつ…などと思って買った類の本が沢山あるが、結局教養は高まらなかった。

保留とする本

科学の本

勉強ができなかった分、身の回りの科学について知らないと恥ずかしいと思い、一通りの本を読んでみたが、理解力・記憶力とも弱く、すぐに忘れてしまう。おそらく深い関心がないから覚えられないのだと考えることにし、天文、地質、気象に関する本を除いて処分することにした。

旅の雑誌

10年間以上ひとり旅をしていた時代があり、旅に関する雑誌をいくつも定期購読し、旅の際の情報にしようと目次を作っていたが、ある時、同じような記事が繰り返されていることに気がついた。そうか、それで出版社に複数年にわたる目次づくりを提案しても相手にされなかったのか。

一気に捨ててしまえば本棚のスペースに余裕ができるが、目次をつくったために、簡単に捨てられなくなってしまった。

ローカル線、青春18きっぷ、ひとり旅、サイクリングなどの主題が明確な書籍は捨てられない。

処分方法

娘に一任した。

メルカリかブックオフか、どちらが高く売れるか1冊1冊調べている。

時々「お父さん!」と声がかかる。「3200円の本が定価以上になっている!」「絶版なんでしょうね。売るの止めて読もうかな」「えっ、…」「ま、いいや売っちゃって」

ちょっとでも娘の小遣いなればいい。

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