ヴォーカル失格

音楽

商店街のイベントで仲間と演奏して3曲歌った。

ヴォイストレーニングの成果を披露したいという誇らしい気持ちがあり、友人、知人に案内したが、期待外れの表情を見て、やはり駄目だったかと思った。最初から期待などしていなかったといったほうが適切かもしれない。

歌っている本人が歌っている最中に駄目だなと思ったら、それはもう聴き手に伝わるでしょう。

喉の治療

まず言い訳をしてみれば、喉風邪で1か月以上苦しんだ。常備の風邪薬で咳も治ると思ったが甘かった。

内科受診後も1週間、夜中に咳き込んで眠れず耳鼻咽喉科を受診し、「咳のとんぷく」など処方してもらった。1週間経っても治らなかったら呼吸器内科を受診してくださいと言われ、その通りとなった。深く息を吸い込むと喉がムズムズして咳が出そうになる。歌っている最中に咳をしたら話にならないと、吸入薬に期待した。吸入後すぐにうがいをしないと喉が枯れますと、副作用の説明があったが、薬剤師の管理のもと吸引し、帰宅してうがいするまでに30分経過していた。見事に喉が枯れた。自然に枯れるのとは違い、気道が膨らんで狭くなったかのような息苦しさ。取り返しつかないことをしてしまったと、吸引薬の服用を中止した。

ドラッグストアで薬を購入。去たん錠・医療用と同成分・・・効きそうじゃないか。プロポリス・リキッド3,500円・・・お金の問題ではない。鼻うがい薬・・・通常は自作しているが市販のものを試そう。水なしで飲める鎮咳去痰薬・・・気休めかもしれないが効果あればラッキー。本番が1週間前に迫り追い詰められていたところに友達から、声帯の炎症を鎮める薬と龍角散ダイレクトを紹介される。うん、効いている感じがする。

本番前の練習

本番1週間前の練習では、歌っているうちに喉の奥が広がり、ガラガラ声の割合が減っていった。

カラオケを除きマイクで歌うのは45年ぶりのこと。仲間が用意してくれたマイク、ミキサーにより声が透き通っているように、自分の耳には聴こえた。いい感じだ。

本番直前

前日からピクニック気分でソワソワ。ギターの練習は十分。バレーコードが連続し、左手人差し指の内側の関節部分と親指内側にタコができている。時々親指の根本がピリピリと痺れるのは急激に練習を重ねたからだろう。問題なし。

喉の調整、これが難しい。前日は喉を休め、当日10時くらいからハミングで喉の奥を広げていく。薬の服用はやめたかったが、声帯の炎症を鎮める薬と、迷った末に去たん錠を飲む。午後、小さな声で歌ってみる。なんとか調整できた、と思った。なにしろ、数日前までは、私が「8時だよ!!」とダミ声で言うと、妻が「いかりや長介さんにそっくり!」と褒めてくれていたのだから。

本番

歌い出してすぐに声が出ないことに気がつく。歌いながらどう整えるかということばかり考えてしまう。

1曲目が終わった時点で、客2人からマイクの音が聞こえないと言われPAに音量を上げてもらったが、聞こえなくてよかった、などと思ってしまった。よし2曲目から頑張ろう。

しかし出ないものは出ない。

根本的な間違い

翌々日、友達が録画した動画が送られて来た。恐れていた事態。しかしこれは見ないといけない。

思っていた以上に酷い。酷いどころか「あなた、よくそれで人前で歌おうなんて思いますね。自己認識が甘いですよ」と内なる声が指摘する。

素直に「はい、もう歌いません」と答える。

嫌々ながらも動画を見たことで、自分の歌が根本から間違っていたことに気がついた。

ヴォイストレーニングにより地声と裏声の間の領域が広がると、全体的に音程が安定し、高音部も力まないで出るようになる。

これは大切なことだけれど、もっと大切なこと、根本的なことが私には欠けている。

それは、歌うことを身体全体で楽しむこと。

あなた、首から上だけで歌っていますよね!

憧れのヴォーカリストの真似をしようとしていませんか?、意識しすぎじゃありませんか?

あなたにはあなたの声があるでしょう。それを腹や胸、身体全体を使って表現してみたら?

楽しいことはもっと身体と結びついているはずだよ。

これからどうするか

これまで練習した曲を今の想いで歌い直すのもいいけれど、新たな曲で再スタートしたい。

後輩とその夫が会場で聴いて感想を述べてくれた。「旦那が、オフコース、チューリップの歌が合う歌声、優しく透き通る声」「フォークソング好きだからまた聴きたいって」

優しい声をかけてくれた人がいたが、これは相当割り引いて受け止めないといけない。プロは間違い一つを指摘され、素人は良いこと一つを褒めてもらえる。昔からいい声だねと言われてすっかり勘違いしてしまっていたのだ。もう高校生ではない。しかし「また聴きたい」と言ってもらえたのは正直、嬉しかった。

低音部は濁声であっても腹の底から出す。低音域、中音域、高音域は独立しているわけではない。低中音域を楽しめるようにすること。

音響

声がどうであるか、それが根本で一番大きな要素を占めていることに間違いはないが、今回、音響による違いを知ることができた。

屋内と屋外の違い。マイク、ミキサー、PAによる違いも大きい。

次の機会は1年後かもっと先かさっぱりわからないけれど、それがわかった時点で自分用のマイクとアンプくらいは入手して録音して練習、確認するようにしたい。とはいえ、その投資は無駄ではないかという内なる声も聞こえてくる。

天性のヴォーカリストではないから相当な努力をしないといけないことはわかっている。自分がやれることはごく僅か。ごく僅かだけれど、気づいた課題を解決する努力をしてみよう。それでも駄目だった時、その時こそやめればいい。やめた時点で挽回のチャンスはなくなる。

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