知人から柿をいただいた。立派な柿で、大きいものは10㎝もある。
パンフレットが添えられているくらいだから名のある柿なのだろう。遠州敷地特産「ころがき」とある。
柿の種類は次郎柿で、これまで漠然と「一郎柿」「三郎柿」も存在するものだと思っていたが、「二郎」でなく「次郎」だった。
調べてみると次郎柿は、1844年頃に松本治郎(ウィキペディアには「次郎吉」とある)という人が静岡県森町で見つけた幼木を持ち帰り植えたのが始まりだそうだ。あれ「治郎」?…字が違うじゃないか。
愛知県と静岡県で全体の8割を生産し、豊橋市の生産が日本一だという。また、富有柿より果汁が少なく、大きく歯応えがあるとある(ウィキペディア)。
とすると、比較対象になっている「富有柿」は「次郎柿」よりも果汁が多く、小さく歯ごたえは「次郎柿」ほどではないということになる。
「富有柿」を食べた記憶がないので大手スーパーへ車を走らせる。
左から次郎柿、富有柿、富士柿。初めて見た富士柿(愛媛県産)をついでに買った。スーパーの価格は次郎柿と富有柿が140円程度に対し、富士柿は倍以上だった。
反対側からも見ておく。
横から見ると一番右の富士柿が9㎝を超える高さで、さすが富士山に形が似ていることから命名されただけのことはある。
切ってみると富士柿の違いは明らか。黒っぽい部分がなく色鮮やかだ。
味を比べてみる。
歯ごたえ一番は次郎柿。甘味は次郎柿よりも富士柿の方が少し甘いと妻が言ったが、私には同じくらいに感じた。この2種に対し、富士柿の味は明らかに違う。
富士柿は、渋柿を天日干しせず甘くした柿のように感じた。
調べてみると、蜂屋柿という渋柿の中から、大型で色が良い柿が発見され、それを接ぎ木して栽培したのが始まりだという。
柿の生産量は、和歌山、奈良、福岡、岐阜の4県で全体の50%を超え、静岡県は10位にも入っていない(2019年)。それに次ぐ愛知県では次郎柿を主に生産しているが、それでも全体の5%でしかないということは、次郎柿を食べてきた私は「少数派」ということになるのか。
柿の品種別生産面積をある統計資料で調べたところ、富有柿が17%程度で1位で(2017年)、そこに次郎柿の名はなく「その他の品種」に含まれている。これには驚いた。干し柿の方が日持ちするため大量生産されている可能性は感じるが、子どもの頃から自分が食べてきた柿、栽培してきた柿の生産量がこんなに少なかったとは。
「次郎柿が一番美味しい」と声高に言いたくなってきた。歯ごたえと甘味。しかしそれは何十年にわたり食べ続けてきたからなのかもしれない。
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