My cup 油滴天目と銀油滴天目

陶芸

隣町の喫茶店で取っ手の大きなコーヒーカップを見たのは昨年の秋だった。

ドーナツのような形・太さで、カップとの不釣り合いな感じに惹かれるものがあった。

聞けば、奇をてらったわけではなく、手の大きな外国人陶芸家が、カップを握るようにしてコーヒーを飲みたくて作ったのだという。

いつか作ってみたいと思い、やっと陶芸教室のお題が「マグカップ」の日を迎えた。

喫茶店で見たものとは違う形だが、とにかく取っ手部分をドーナツ状にしたかった。

粘土が余ったので、もう一つ作ることにした。ドーナツリングをちょっと小さく細くした。1㎏の粘土でちょうど二つできた。

素焼きした後で釉薬をかけるのだが、イメージがわかなくて教室の当日を迎えてしまった。

藁灰マットに油滴天目をかけると、油滴天目が流れてマーブル状、多色に発するのが面白くて、教室にある釉薬の類似品と思われる「銀油滴天目」を1㎏2,264円で買っておいた。

それを使ってみることにした。

しかし実際に使った釉薬は、教室のものにせざるを得なかった。釉薬を入れたバケツにカップを漬けようと思ったら、バケツの口が小さすぎて入らなかったからだ。

それでも面白い模様になった。

ただ、下側にかけた釉薬が底に流れ、土台とくっついてしまったらしく、先生から注意を受けた。

「釉薬かけすぎだよ!ダイヤモンドカッターで切り離すのにどれだけ苦労したか…。一度やってみるかい?」

一方、小さなカップは銀油滴天目の小さなバケツに入った。わずか1リットルの釉薬でバケツの水位を上げるとなると、口径の小さなものにしないといけなくなる。

教室の油滴天目と私の銀油滴天目の違いが今一つよくわからないが、上蓋の模様に特色が出たのではないかと思っている。

銀河のようでとても気に入っている。

実はこの蓋は、作品を取りに行った時、ポツンとそれだけが机の上に置かれていて、私が作った蓋であることどころか、蓋を作ったことすら忘れていて、「これはいったい誰が作ったものですか?どうやったらこの模様が出るのですか?」と先生に尋ねたら、「それは君が作ったものだよ」と言われキョトンとした。

釉薬が流れないとこういう模様になるのか…。では次はもっと大きな平らな面で試してみよう。

コーヒーを入れて飲んでみる。小さなカップの「縁が口に触れる感触がいい」と、妻が褒めてくれた。

また少し陶芸が楽しくなってきた。

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