久しぶりに妻と旅に出た。温泉に浸かり宿で料理をつまみながら酒を酌み交わすのを一番の楽しみとしていたが、それまでの間、何に時間を費やすか、出発前夜まで決めかねていた。というのも伊豆はもう何十回も訪れ、観光ガイドブックに載っているところはほぼ行き尽くしており、自分が一番過ごしたい時間はどのようなものか自問自答を繰り返した。
結果…自然や芸術に触れたい。そう思った。
高速道路を東に向かう。自宅からおおよそ2時間で伊豆市湯ヶ島の昭和の森会館に到着。
文学に触れたいと思った。刺激を受けて井上靖や川端康成を再読するのもいい。
山のレストラン 緑の森
まずは腹ごしらえ。レストランに入る。
平日とあって、客は私達以外に2組だけ。その後、5人くらいの若い男性が入ってきた。
私は、わさび丼定食1,500円。ちょっと高いと思ったが、伊豆ならではのメニューを選んだ。
わさびを家でおろすこともあるが、この際正しい方法を身に着けておこうと、頭に刻み込む。
もったいないから全部すりおろして食べようと、ご飯の上にまぶし、醤油をかけて食べる。
その辛いのなんのって…すりおろしている時に揮発した成分が目を刺激したくらいで、気管に吸い込んだら呼吸困難に陥るので慎重に箸を口に運んだ。
紅葉の終わりを感じながらの食事。館内も庭も静かだ。
伊豆近代文学博物館
レストランから直通の文学館に入る。1人300円。JAF割引はなかった。
入口の立て看板を見、そうそう「伊豆の踊子」は川端康成作で、映画の女優は山口百恵、吉永小百合だよな、と妻に呟いてから入館する。
木材の美しさを感じる館内。
映画「伊豆の踊子」の主演女優のパネル。美空ひばりが踊子だったことに驚く。知らない女優が2人いた。
この他にも、伊豆に関係した文学者について様々な展示がされており、今回も大きな刺激を受けた。
井上靖旧邸
文学館を出て、井上靖旧邸に向かう。
井上靖が幼少の頃に過ごした母親の実家で、明治5年ごろに建てられ、クラウドファンディングなどの修繕を経て今日に至っているとのこと。
前回来た時は土砂降りだったのを覚えている。今日も雨だったが、ちょうどこの頃に止んだ。
今回は部屋の電球の傘に目を奪われた。
古くなっても美しいものが、ほんとうに美しいものかもしれない。
2階への階段は進入禁止になっていた。強度不足のようである。
昭和の森会館の庭
雨上がりの庭を楽しむ。
おや、何の花だろうと思ったら、モミジの落葉だった。
新芽の先の雨の雫が落ちようとしていた。落ちる前に蒸発してしまうのかもしれない。
雫のレンズ効果で、向こうの枝が逆さに写っている。
池を渡る帰り道。
会館に戻る。
スタンプを発見。ノートを取り出してペタリ。細かいところまで描かれた綺麗な絵だ。
館内で川端康成「伊豆の踊子」、井上靖「しろばんば」の文庫本を販売していた。確か家の本棚にあった。再読しようと思いながら次の目的地、東伊豆に向った。
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