私が退職して喜んだ人のひとり、母。父は57歳で退職し、年金を1回受給して突然死んだ。遺品を整理していると、木工関係の工具、材料がたくさんあり、やりたいことがあったのにできなかったことは明らかだった。
退職して無職・無収入になるにもかかわらず、周りのほとんどの人が賛意を示した。時代が変わったような気がする。
現役世代の後輩と話をしても、モチベーションが下がってしまい定年退職を待ち望む声は多い。未来への明るい展望がなければ、何のために働いているのかという疑問に真正面から向かい合うことになり、折り合いをつけるのは大変だ。
この前、同級生と酒を飲んでいて、皆なにかしらの病気と付き合っているなと思った。脳梗塞経験者2人、膀胱がん、大腸がん…。私は長年の事務仕事で目が駄目だ。飛蚊症。飛蚊症は病気ではないと言われるが、体の不調は本人でないとわからない。
退職一区切り。数日前、妹たちとじっくり話をしようということになり、さっそく実行。実家までは車で15分だが、それを小旅行と捉えてみると楽しさが増す。
携帯ラジオ(就寝前に聴こう)、双眼鏡(庭に野鳥が来るかもしれない)、ポラロイドカメラ(記念撮影)、コンパクトデジカメ(庭に見たことがない虫が現れるかもしれない)などを小さなキャリーバッグに詰め込んだ。鳥の先生に借りた本も忘れずに。
家族の役に立つ
あっという間に実家に到着。まずは母を眼科の定期健診に連れていかなければならない。ただ、これまでと違うのは、その後のスケジュールがないため気持ちにゆとりができ、母に対し優しい気持ちになれたことだ。
天気予報は大雨。眼科駐車場が満車だったら面倒だなと思っていたが空いていて、雨粒も落ちてこない。天に感謝。母は歩くのに時間がかかるが、いつか私もこうなるのだなと、歩む速度を合わせた。
庭の草刈も頼まれている。これが私の仕事だと意気込んで、草刈り機を充電し、ウエアを引っ張りだした。
音楽のとき
妹、甥が仕事から帰るまで半日ある。折りたたみ式キーボードと小さなギターを持参した。
TAHORNG ORIPIA49
職場で昼休みに練習していたキーボード。友達の楽器店で買った。鍵盤数は少なくても十分に楽しめる。今日はオフコースの「水曜日の午後」「雨の降る日に」、ジョン・レノンの「IMAGINE」を練習。「水曜日の午後」は高校生の時に文化祭でバンドを組んで歌ったが、ピアノは友達に弾いてもらったので自分で弾けるようになりたい。まだ音を拾うくらいの段階。
MARTIN LX1RE
通称「リトルマーチン」。小さくてもマーチンらしい音がする。機種名の最後のEは、エレクトリックを表していて、アンプにつないで音を出すことができる。
押尾コータローの「DREAMING」「桜咲くころ」「木漏れ陽」「夕凪」、ブルース「ヘイ・ヘイ」を弾く。ギターは中学生の時に始めて高校生まで弾いて、数年前に再開した。そうだ思い出した。職場で居場所がなくなった時に最初にすがりついたのはギターだった。弦を鳴らし、その音に心が静まった。不確かなことだらけの中でも、この音だけは確かだと感じて夢中になったのだ。
耳の遠い母にはほとんど聞こえてないだろうが、時折こちらを見て満足そうな顔をしているのが嬉しい。
母、妹、甥と
このブログを書きながら妹たちの帰りを待っている。魚屋の刺身はやはり違う。店主に「あと10年は頑張って営業してください」と言うと、即座に「冗談じゃない。90(歳)超えてやりたかねぇよ!」と帰ってきた。
馴染の肉屋が3月末で閉店した。最後の1週間は、予約しておいても30分以上待たないといけないほどの行列だった。店主は「素材を手の上に乗せ、五感で感じて何を料理するか、それを考えている時が幸せだ」と言っていた。こういう人・店がどんどん減っていく。
ビールだけでは面白くないので、日本酒とワインを調達。ラベルに「杜氏渾身の酒」とある。ワインはオーストラリア原産で、ぶどうはカベルネとシラーズのブレンド。「カシスやブラックベリーなどの果実味とタンニンがしっかりと感じられ、柔らかく繊細な口当たりです」。さあ、どうでしょうか。
妹は寿司屋に勤めていて、寿司を持ち帰る。「忙しくて帰りが遅れそう」との連絡が入る。
「R君が帰ってきたら、先に飲んでるよ」と、ブログを続けていたら、ちょうど今、甥のR君が帰ってきた。
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