2人きりの忘年会② 12月14日

居酒屋

高校の同級生から突然連絡が入った。「飲みに行きませんか」

帰省した友達の実家は私の近所。それなら近所の居酒屋が便利だと、いくつか店の名前が浮かんだが、なぜかしっくりこず決めかねていた。

突然の飲み会に参加できる人が他にいるか数人に尋ねたが、結局2人だけで飲むことになった。

「忘年会が重なっている」「明日親戚の結婚式なので止めておく」「もっと早く言ってくれよ」と理由は様々だった。

その時ふと懐かしい料理屋の名が浮かんだ。近所の「東乃」。

最後に行ったのは17年程前だろうか。家族がアルバイトしていた店でもあり、店の女将たちに会いたい気持ちが急に募ってきた。まだ営業しているのだろうか…。

電話には女将の娘が出て、私たち家族のことを思い出してくれた。それからの半日、夜が待ち遠しくて仕方なかった。

夕食のスパイスカレーを妻から頼まれており、カレー作りを急いだ。ニンニク40g、皮をむいてすりおろすのが一番面倒。しかし何とか間に合った。不思議なのはこれまでで一番美味しく出来上がったこと。玉ねぎの水分をどれだけ飛ばし焦げる手前まで炒められるかが左右する。

家から徒歩5分の店。何度も時計を見た。やっと楽しい時がやってくると家を出ようとして帽子を忘れたことに気づき戻ったが、見つからず諦めた。

道を間違うはずないのに、妻の案内が間違っていておかしな方向に向かっていた。私の記憶の方が確かだった。5分遅刻。友達に詫びる。

2人とも生よりも瓶ビール派で一致。乾杯

あらかじめ注文しておいた刺身をつまみながら積もる話をする。

友達と私の結婚式は同じ日だった。私の方が早く告知していたため、共通の仲間は私の結婚式に出席したが、彼の式場の料理の方が格上であったため仲間が悔やんでいたことを思い出した。

友達は大手外資系会社に勤め、その仕事の話を聞けば聞く程、私が反対側で生きてたことに気づかされていった。

目に見える成果を上げ経済的に成功する人はこうなんだなと納得。合理性をとことん追求しようとする考えに辟易することもあったが、勉強になることが沢山あった。

女将、女将の娘とも話をして、最後はポラロイドカメラで記念撮影。

記念写真を送ると星空の写真が返ってきた。

「このあたりは星がよく見えますね」

友達の違う一面を見た気がした。

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