黒髪と白髪 9月27日

懐かしい時を求めて

最初に白髪を発見したのは中学生の時だった。もちろん、学生時代に白髪染めをしたことはない。いったいいつから染めるようになったのか。

染めた場所は床屋、美容院、自宅と様々だが、後年、頭皮が悲鳴を上げていた。

床屋のお姉さんからは「このまま染め続けると頭に穴が開いてしまうよ」とまで言われたが、その時は側頭部に穴が開けば、眼球を動かした際に視界が広がり便利かもしれないなどと、減らず口をたたいていた。

それが仕事を辞め人と会うことがなくなり、なぜ染めるのだろうかと考え立ち止まってしまった。

染めるのは当たり前だったし、黒髪は若さの象徴だと思っていた。

未婚の娘からは「結婚までは白髪を染め若々しくいてほしい」と言われているが、その日が来るのかははっきりしない。

それでも少し前から、頭皮から体内に入り込む化学物質は体に害があるのではないかと思うようになった。皮膚が悲鳴を上げるのは「警鐘」に違いない。

友達が「髪の色と顔の皮膚のバランスが崩れているのはみっともない」と言うのを聞いて、なるほどと思った。顔が老いているのにあまりにも髪が黒々としていることに違和感を感じるようだ。

昨日、温泉に浸かり、人の髪の色を観察した。友だちが言っている通りかもしれないと思った。

母は今年91歳になるが、数年前に白髪染めを止めた。真っ白になり、こういうのもいいなと思った。ところが、健康のために母に勧めた「発酵大豆」を食べた影響か、黒髪が生えてきて困っているという。せっかく真っ白になったのに黒い髪が混ざってくるようになってしまったと。妹と確認したところ、確かにその通りだった。

「発酵大豆」を製造販売しているKさんは75歳になるが、ほとんど白髪がない。尋ねると染めていないという。

Kさんの同級生のもう一人のKさんが先日、「白髪が増えてきたから再び発酵大豆を食べることにした」と言っていた。そのもう一人のKさんでさえ「少し白髪が混ざっている」という程度である。

そうだ、私も母のように一旦真っ白にしてから「発酵大豆」をせっせと食べ、二人のKさんのように黒髪になろうと決意し、白髪染めとはおさらばすることにした。

坂本龍一のようになれるだろうか、司馬遼太郎だろうか。白髪が伸びるのを鏡で見てはニヤニヤしているところである。

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