白髪染めを止めたのはよかったけれど、過去に染めた部分がすっかり無くなり自然な状態になるまでには時間がかかる。私の髪型だと1年くらいはかかるだろうと言われた。その間の中途半端な状態を、どのように耐え忍ぶかが悩ましい。
以前通っていた床屋のお姉さんは髪の色を抜き、一気に白髪にしてしまったが、脱色する液体が皮膚に染みて痛くてたまらなかったと言っていた。化学物質からおさらばして自然な状態に戻そうとする時に、それはできない。坊主にしてしまえば簡単に解決するが、妻から「待った」がかかる。
そんなことを考えている間にも髪はどんどん伸びてくる。雨後の筍とまでは言わないが、梅雨時の雑草のごとくである。
「あの人、染め忘れてますね」と指さされるような気がして、帽子を被って誤魔化したりした。
妻が「外出の際に『白髪への移行中』と書いたタスキを掛けたらどうか」と提案した。なるほど、そういう方法があるのかと感心したが、ハチマキの方がシンプルな気がした。
このところ髪にお金を掛けないよう、娘にカットしてもらっていたが、子育てに忙しく実家に来ることがなくなった。鏡を見て自分でカットしていたが、何か変だ。よし、久しぶりにプロに髪を整えてもらおうと決意した。
一番お気に入りの髪型にしてくれる美容師は、直前ではなかなか予約を入れられない。料金をも考え、諦めた。次にお気に入りの床屋は、もう2年近く行っていないから、何を今さらと断られるのではないかと思い袋小路に入ってしまった。
するとまた妻が提案した。家の近くに予約なし・格安料金でカットしてくれるところがあるという。子育て中の人が「短時間」で働いていたり、子育てで仕事を離れていた人が復職にあたりトレーニング的に働いているらしいと、どこかで聞いてきた。
どんなところか、また、年寄りの髪を快く切ってくれるものだろうか、不安だったが、思い切って「えいっ」と家を出た。
外の広告看板をよく見ずに入り、椅子に座ったところで料金の説明を受けた。カットは通常3,480円のところ、初回限定で2,400円だという。あれ、そんなに高いのと一瞬思ったが、よく考えたら安い。洗髪すると600円加算と聞き、温泉からの直行でもありカットだけでよしとした。
1,000円程度でカットしてくれる店をイメージして家を飛び出したが、ここは美容院なのだと改めて考え直した。
日によっては30分から1時間程度の待ち時間が発生することもあるようだが、その間は外出して用事を済ませてきてもいいという。要は予約だが、その日は待ち時間がなかった。
カットは短時間で終了したが、やはりプロは違うと思った。美容師と色々なお話ができたのも良かった。担当してくれた美容師は、小学1年生と幼稚園児の子育てをしているということだった。優しそうな人で、次回指名したいくらいだった。
2か月以内にリピートすれば、再び2,400円でカットしてくれるとのことで、1か月あたりにすれば1,200円ということになり超格安である。チラシを持っていけばヘッドスパ600円と聞き、次回は3,000円でヘアカットとヘッドスパをしてもらうのもいいなと思った。
妻から「白髪だからこそきちんとしていなければいけない」と言われ、その通りだと思った。良い店を見つけられてよかった。
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