「同級生っていいな」隣の女性が呟いた。
先月、高校の同級生4人が集まった飲み会・2軒目でのことである。
カウンターの上にはウイスキーの瓶がずらりと並んでいる。私たちはグラスの氷を鳴らしては、口をつけていた。
「母親の納骨のため東京から帰省した」と連絡が入り、「じゃ、飲みに行こうか」と常々連絡を取り合っている同級生2人を誘った。
突然でも集まることができるのが、友達のいいところだ。
3日前の土曜日も同級生が集まった。
LINEで話をしているうち、仕事でストレスが溜まっている様子が伝わってきたので、前日に「飲みに行こうか」と私が誘った。
友達をダシにしたが、私も飲みに行きたかったのだ。同級生を1人誘って3人になった。1人は仕事で都合がつかなかった。
すると隣の同級生が「同級生っていいなぁ〜」と言うのを聞いた。
そうか、同級生ってのはいいんだ!
高校の同級生は330人いるけれど、お付き合いがあるのはごく僅か。
高校生というのは全くの子どもというわけではなく、かといって大人でもない。子どもを保ちながら急激に大人に変わろうとする時で、人の本質や原点といったものが多重になって現れるのだと思う。
同級生とは社会に出てからの地位や名声に関係なく付き合える。地位や名声といった鎧があっても、生身の本質や原点はそう変わらず、誤魔化しようがない。カッコつける必要もない。
土曜日の飲み会・2軒目では、バンドを結成して演奏しようという話になった。これまでにも出た話である。
懐かしい歌を1人が口ずさむ。すると隣の1人も歌い出し、ハモったりした。
小さな声で歌っていたが、客が少なくなると常連が「もっと大きな声で歌っていいよ」というので、私たちの音量は少し大きくなった。
アカペラで20曲も歌っただろうか。
よし、今度こそはエレキギターの練習をきちんとして同級生に応えられるようにしよう。もう1人のギターは娘婿にお願いしよう。女性ボーカルを娘にお願いしようと、決意と約束をした。
ドラマーは、ライブハウスなどで演奏している現役だが、「このメンバーでやりたいんだよ」と言ってくれる。
高校生の時、私の部屋で音合わせをし、痛風で寝込んでいた隣家のおじさんに怒られたっけ。などと半世紀近く前のことをあれこれ思い出した。
音楽はいいな。同級生はいいな。私にもやっとわかりかけてきたような気がする。
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