阪神タイガースと私 8月13日

懐かしい時を求めて

阪神タイガースが首位を快走している。しかしいつまたコケるかわからないのでファンは慎重になっている。

岡田監督が優勝のことを「アレ」と言い、アレが「ARE」となって商品化されている。商魂たくましい大阪商人に感心する。

阪神ファンになったのはアンチ巨人が根本にあったからで、私などは子どもの頃、中日が優勝すればアンチ巨人としては嬉しかったし、赤ヘル軍団の優勝も気分がよかった。

阪神の優勝は、望んでも叶わないことが殆どだったので、打撃部門でタイトルを狙えるスターがいることが救いだった。試合には負けても掛布、バースがホームランを打ちタイトルを取れば満足した。

過激な阪神ファンを敬遠する人は多い。後楽園球場のライト側応援団のところに喧嘩を売りにいく人や神宮球場の外野席で審判のストライクボールの判定に大声で暴言を吐く人などを見てきた。

若い頃はそれをも風物詩の一つのように楽しんでいたし、味方として頼もしいと思ったことすらある。私自身ラジオ中継を聞き、選手の不甲斐なさに、ラジオを床に叩きつけるほど怒りが治まらない時もあったのだ。

今は歳をとったせいか、冷静に観戦できるようになった。対戦相手チームの良いプレイも楽しめるようになった。

なので最近では、オールスターゲームのファン投票で阪神の選手が独占してしまう状況には違和感を感じた。サードはベイスターズの宮崎だろう、外野は…と思った。他球団のファンや選手から賞賛される選手がほんとうのスターだ。

しかしながら、ファン投票の結果がわからないわけでもない。投票行動を起こすファンの数が多ければ、ひいき球団の選手の票は伸びる。球界の大御所が「クールになって選択を」と正論を述べたが、ことはそう簡単でないだろう。

ファン投票の開始と終了の時点で選手の成績が変わっている場合もある。しかし単純に成績が上位の選手を選出するのであれば、そもそもファン投票など行う必要はなくなってしまう。ファンとして、成績はあと一歩でも、これから活躍してもらうためにモチベーションを上げてもらいたいという後押しの気持ちが働くのは無理もないように思う。だたその基準が問題なのだろう。

クールな選択が正論であることに間違いはない。ただ、今の阪神の快進撃を見ていると、成績が今一つでもオールスターに出場したことが、その後の選手の活躍に結び付いている部分もあるのではないかと思ったりもする。

静岡で「阪神ファンです」と言うと「珍しいですね」と言われた時代があった。現在の人気がどのようにして生まれたのかがよくわからない。

他球団のスター選手を何人も引き抜く球団には反発を覚え、「育成してこそ」と思うが、プロの世界であれば移籍は当たり前のことだし、今やその弊害の方が目立ち始めているのを見ると、物事は収まるところに収まるのだなと年寄じみた考えをもつようになった。

阪神の選手が球団を去る際のゴタゴタなどに嫌気がさし、何度阪神ファンをやめようと思ったことか。「もう阪神ファンは止めた」と家族に宣言してグッズを処分し、他球団を応援してみても、心変わりできないのはどうしてか。

今年はもうこの快進撃を楽しむしかない。独走チームがクライマックスシリーズで負けたら、それはそれで語り草になり面白いではないか。

もう少し阪神を応援しようと、懐かしいグッズを引っ張り出してきた。

もう少しだけだ。

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