スマホや携帯電話を持たない生活をしたらどれだけの解放感を味わえるだろうかと想像することがある。
しかしスマホの利便は計り知れない程大きくなる一途をたどっている。簡単に解約などできないが、少し距離をとってみようと思った。
腕時計
スマホと私をことさら密接に結びつけているのはスマートウォッチである。
これはジョギングを頻繁にしている頃、一体どれくらいの距離をどれくらいのペースで走っているのか知りたくて買ったものである。
それだけでなく、スマホで受信するメールを読むことができる。離れたところで電話が鳴っても、誰からの電話か表示されるので、急ぎの場合は時計で通話開始にしてから携帯電話を取ることができる。
最も便利なのは防災関係の情報受信だが、中でも日々の雨雲情報には何度も救われている。
「雨雲が近づいています」と表示されれば洗濯物を取り込む。
ある旅の朝、カメラをぶら下げて散歩に出かけたところ「雨雲が近づいています」と着信。え、こんなに天気良さそうなのに?と思ったが傘を持たなかったので、宿へ小走りして事なきを得た。
それにもかかわらず、この時計を腕にする時間を減らすことにした。即ち、受け取る情報を減らそうというわけである。
一日中家に居て腕時計をする必要はないけれど、娘が贈ってくれたものを使おうと、引き出しから出した。これらはクォーツ時計。
次の二つはネジ巻き時計。右は自動巻きなので、腕に着けていれば動き続ける。左はデザインが美しくて買ったもの。
壁掛け時計
そして部屋の中を見るといくつもの時計があり、何か時計たちに管理されているような感じさえしてくる。
置き時計
漆を塗っている時に見る時計。
クローゼットのテーブルの上には電波時計。
テーブルの上には娘の結婚式の記念品。文字盤の色が消えかかったので、アクリル絵の具で着色した。
作った時計
「一つの部屋にこんなにたくさんの時計があったとは」と呟くと、妻が「(さらに)貴方、時計作ったしね」と言う。
そうだ、沢山の時計があるのに作ってしまったのだ。
これはカルトナージュで本体を作り、文字盤には、飼育や捕獲した蝶の写真をプラバンに印刷し、樹脂で厚みをつけたものを貼りつけてある。
これは食べた鮑貝を数字の形に切り出してはめ込み漆を塗ったもの。
これも食べた鮑貝を蝶の形に切り出してはめ込んだ漆の時計。
ムーブメントは既製品をはめ込んだだけだが、知らぬ間にこんなことになっていたとは。
一つの部屋にこれだけの時計があれば、この部屋はもはや私の部屋というよりも時計が支配している部屋だ。スマホから離れ、私の時間を取り戻そうとする過程で大変なことに気がついてしまった。
時計の視線に耐えられなくなったら、どこかに片付けてしまおうと思う。
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