漆・星のラジオ

ラジオ

2年以上も前に作ったラジオだが、記しておこうと記憶を辿る。

板に描いた絵は、私の手元からアゲハチョウが夜空に羽ばたいていくものと、私自身が星に向かって飛翔していくものである。

その頃、アゲハチョウの幼虫を庭のスルガエレガントの葉に見つけては飼育ケースに移し、年間100匹以上羽化させて空に放っていた。毎日アゲハチョウのことばかり考えていたから、そんな絵になったんだと思う。

電動糸鋸どころか手動の糸鋸も使わず(そういう発想がなく)、ドリルで穴を開けて電動ルーターで拡大し、ヤスリで整えた。

貝は鮑貝で、宴席の残り物を持ち帰り砕いた。

漆の基本的な工程の後、漆を接着剤にして貝を貼った。

藤色の漆は時間をかけて粉からつくった。湿度を落としてゆっくり乾燥させないと色が暗く沈んでしまう。失敗しては何度も塗りなおした。

その都度、貝に付着した漆の汚れを、綿棒や爪楊枝の先に研磨剤をつけて磨き、気が狂いそうだった。

表面全体の研磨はできず、漆芸品というよりも「工作品」だが、今さらやり直すのも面倒だし、物づくりを始めた初期のエネルギーの噴出の跡が残っていて、懐かしさと愛着を感じる。

中にはLEDライトがあり、点灯すると蝶が浮かび上がる。

LEDライトの向きを変えると、裏面の絵が浮かび上がる。

電池交換が必要で、開閉できるようノブをつけた。

AM、FMいずれも感度良好。

今、陶器のラジオを制作中だが、木工もいいなと思い、近くの店で木目が美しい板を数枚買ってきたところである。

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