アブラコウモリがやってきた 4月22日

懐かしい時を求めて

妻が納戸の扉に何かいるという。暖かいからカブトムシが羽化してしまったかと一瞬考えたが、そんなはずはない。この前幼虫のマット交換した時に蛹はいなかった。いくらなんでも早すぎる。

アブラコウモリ

近眼を近づけるとコウモリだった。少し怖い。直に手で捕まえることはできそうにない。ジャムの空き瓶を被せて蓋を閉める。よし、じっくり顔を見せてもらおうじゃないか。

瓶越しに顔や手足を観ていたが、どうも元気がない。これなら瓶の外に出しても大丈夫だろう。

可愛い顔をしてるじゃないか。空飛ぶネズミといった風貌。

調べてみると、これは市街地でごく普通に見られるアブラコウモリのようだ。寿命はオス3年、メス5年。1.5㎝の隙間があれば家の中に侵入できるらしい。吉村昭の「破獄」に出てきた、肩の関節を外して狭い隙間から脱走する囚人を思い出した。

足を見せてもらいましょう。この爪があるから逆さにぶら下がったり、曲芸ができるのですね。

おや、何か虫がいる。ダニかな。血を吸って真っ赤に膨れ上がっている。指で潰してみたら血が飛び散った。手を洗わないと。

このダニが何かはよくわからなかったが、コウモリが弱っているのはダニのせいだろうか。朝食を採るのも忘れてたっぷり観察したところで庭に解放した。

「生き物屋図鑑」盛口満、木魂社2006年刊に「日本のホ乳類の三分の一がコウモリにあたる」「アブラコウモリは、人々が森を切り払い、家を建て始めた遠い昔に、大陸から移入した史前帰化動物ではないか、と…マエダ先生は『日本コウモリ研究誌』東京大学出版会に書いている」とある。我が家に住み着いていなければいいのだが。

先日読んだ本にコウモリのスープの話があった。東南アジアのどこかで食べる習慣があり、本の著者も食べていた。食用コウモリは別物だろうか。

昆虫食

世の中には色々なものを食べる人がいるが、昆虫食は最近では珍しい話ではなくなった。

「世界の食用昆虫」三橋淳、古今書院1984年刊では、食べられる虫の中にゴキブリが分類されている。「…実際にはむしろ清潔な昆虫であり、…(省略)…、逆にゴキブリの皮膚は殺菌作用のあるフェノールやクレゾールを分泌しているという報告もある。また、ゴキブリは結構おしゃれで、ネコのように、しょっちゅう自分の体の清掃をしている」。そうか、見た目だけで判断してはいけないのだ。

「食べ方もいろいろあり、かつてイギリスの船員は、船内でゴキブリをつかまえては、翅や外皮をとり除いて、いわゆるムキ身として食べていたというし、そのほか卵鞘のフライ、スープ、ペースト、ゴキブリ茶、ゴキブリ酒など、枚挙にいとまがない」。ゴキブリが少し身近になったような気がしてきた。

昆虫好きは、どうやらその味をも確認せずにはいられないようで、ゲッチョ先生(盛口満)などは(何の本だったか…)、友人と囲炉裏を囲んで酒を飲み、灯火に集まってくるカブトムシを軽く火で焙っては食べていた。それを見た友人たちも真似をし、けっこういける味だと書いていた。

テントウムシは不味いと言っていたのはゲッチョ先生だったか、別の人だったか。

私は昆虫食は駄目だ。イナゴやハチの子でさえ無理である。昆虫は好きだが、おそらくその深度が不足しているからにちがいない。まだまだこれからだと思っている。

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