8月31日の東京新聞に「函館『テーオーデパート』、きょう惜しまれ閉店」という記事があり、27日に開かれたヒーローショーに集まる親子連れの写真が添えられていた。
このデパートに行ったことはないが、ひとり旅をしていた頃、地方のデパートで過ごす時間が大好きだった。楽しみの半分は買い物で、掘り出し物があったり、そこでしか手にないりそうにないものがあれば記念に買った。
残り半分の楽しみは、そこに居ることである。家族に手を引かれてエスカレーターを上がっていく小さな子どもたち、いっとき親の手を離れて欲しいものに目を輝かせている子どもたち。自身の過去をそこに見て、楽しかった子ども時代をもう一度体験することができた。
私が生まれたのは高度経済成長期が始まった6年後の1961年で、経済成長は小学6年生まで続いた。新しいものが次々と世の中に現れてくる時代だった。小学校に上がる前は、両親の休日に静岡のデパートへ行くのが恒例だった。革靴を履き着飾った写真が残っている。
松坂屋でおもちゃを買ってもらい、レストランで食事をする。屋上の遊具で遊び、記念写真を撮る。帰りには駅弁を買い、父は家族の人数分以上の数を買って親戚に配っていた。今でも売っている鯛めしは、しばらくは300円だっと記憶している。それが900円になってしまうとは。
小学生になり一人で歩き回れるようになると、商店街にあるデパートに入り浸った。流行の最先端があり、小遣いを握りしめて情報を取り逃がさないよう注意を払っていた。
おもちゃ屋も映画館も何軒もあり、商店街は変化に富んだワクワクする空間だった。
ひとり旅をしている時は、デパートだけでなく商店街もよく歩いた。今でも複数店舗が協力し合い頑張っているところがあり、そういう空間に身を置くことができた時は嬉しくてたまらなくなる。
楽しいところには必ず「人がいる」。デパートも商店街も居酒屋も、人がいれば会いに行く。必ずしも商関係だけで世の中成り立っているわけではないと思いたい。
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