三日月が酔う 8月23日

懐かしい時を求めて

電動ルーターでおちょこを作り始めて、やっと漆の工程に入りました。

生漆で下地をつくり、拭き漆を繰り返します。

底は隙間を埋めたりデコボコをならしたりしなければいけないので、膨らみが出る呂色漆を塗り重ねます。闇夜の月をイメージして黒の呂色漆を使いました。

外側は拭き漆を10回行いました。漆風呂に8時間くらい入れておけば乾燥するので、1日に2回塗ることができます。

底は真っ平にはなりませんでしたが観念して、朧月夜ということにしておきました。

さて、お酒を注いてみないと月見酒にはなりません。

山形の純米酒を静かに注ぎました。

月を眺めながら月を飲みます。

飲んでも飲んでも月は現れます。また、見る角度により輝きや模様が変わるので、「おや?」と思い何度も杯に酒を注いでしまいます。

そして杯を重ねるうち、酒の揺らぎに「月も酔っているのではないのか?」と思うようになり、それなら「よし月をもっと酔わせてやろう」とまた酒を注ぎます。

月と勝負しても勝てるはずはなく、頭がぐるぐるしてしまいました。

なんとも恐ろしいものを作ってしまいました。

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