釣りの先生
仕事から解放されると時間は緩やかに流れ、思い出したのが、昔、釣りの約束をしたMさんだった。思い切り釣りを楽しみたい気持ちと飛蚊症進行の恐れ、趣味を増やす経済的不安がないまぜになった状態で「ドブ釣り」に入門した。
いよいよ実践間近というところで先生宅に不幸があり、替わって先生の釣り仲間に連れて行ってもらえることになった。しかし、その直前に車が故障し、結局釣りには行けずにシーズンが終了してしまった。
その後私の体調不良が長引いたり母が入院したりして、Mさんとの再会は11月になってしまった。
音信が途絶えて時間が経つと、ふと心配になり連絡する。いつも全くの杞憂で、私なんかよりもずっと長く生きそうで安心した。
ガールフレンド
友達からガールフレンドを紹介された。亡きご主人の骨董を整理していて、引き取れるものがあればそうしてあげてほしいというようなことを言われた。
90歳を超えてもまことエネルギッシュな人で、若い頃の躍動する姿が容易に想像できる。
無償の心を持つ人に随分と甘えてしまっているが、最後はこうありたいと思う。
浮世絵
彼女から譲ってもらったのは、浮世絵が最初だった。お金を払おうとすると嫌がり、「気持ちだけ置いていってくれればいい」と言う。高額は出せないのでその通りにするが、何か役に立つことをしようと庭の草刈りをすると「お礼」と言って浮世絵をくれる。
浮世絵には昔から興味があり、本を買ってはパラパラと眺めていた。しかし本物を間近に見ることができるのは貴重である。
疑問が生じればまた本を買ったりして調べる。それが楽しかった。
骨董
漆を塗っていると言ったら漆器を譲ってくれた。年月を経て残るものの技術の高さ、美しさは勉強になる。
ひらがな習字を習いたいと思っていたのが通じたのだろうか、譲ってくれた。
水石は柘植義春の漫画の世界でしか知らなかったが、これも何かの縁だろうと少し勉強した。
「捨てる」と言ったのでもらっておいた。
掛け軸
掛け軸に興味は無かったが、見せてもらうとなかなか面白いと思って、何本か譲ってもらった。
好きな絵かどうかで選び譲ってもらう。
新たな出逢いは知識の幅を大きく広げてくれた。感謝。
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